モーターサイクルに歴史あり。創業者の意志がここにあり -。英国はノーザンプトンにて皮革職人であった ジョセフ G グロース 氏。彼はそんな職人である一方、発明を行ったり実業的に事を成す側面もあり、また自ら自転車レースに出場し成績を残すなど、生前は非常にアクティブな人物像であったことがうかがい知れる。そんな折、1876年には同じくノーザンプトンのセントジェームス地区にて自らの店を構え、自転車の組み立て・修理を行い生業を立てるようになる。これが「 ジェームス・グロース社 」としての産声を上げた瞬間と言えるだろう。後に自転車にまつわる特許を取得したり、来たる時代、、自動二輪・四輪自動車の普及にビジネスチャンスを見出し、19世紀末から1920年代にかけて二輪の販売、車体製造、バスやタクシーなどの商用車の製造・運営へと着実に成功を収めてゆくのであった。皮肉にも1914‐1918にかけて発生した第一次世界大戦を経て自動車需要が顕著になり、大衆化され、そのニーズに沿うような形で James Grose 社もオリジナルの自動二輪 " Grose Spur " の生産などにより一段と成長を成し遂げ、ロンドン都心部ともいえる Euston Rd 沿道に拠点を本格的に移し、モーターサイクルアクセサリーの総合ショップとして人気を博すこととなりました。ちなみに現代によみがえっている James Grose 社のモーターサイクルジャケットですが最初に開発がなされたのは1930年頃の事 -。 、、後に数々の偉業を成し遂げてきた創業者、ジョセフ氏が1939年にこの世を去り、その3人の子供たちにより事業が継承されてゆくこととなる。第二次世界大戦後の1950年代には " THE HOUSE OF ALL SPORT " として自動車関連の枠に加え、英国のメジャースポーツでもあるクリケットを始め、その他のスポーツ用品、アウトドア関連用品をも取り扱うデパートメント・ストアになり現代で言う所の「 総合スポーツ用品店 」の様な立ち位置、またロンドン都心部のランドマーク的な存在として地元の人々に親しまれておりました。同、50年代には三人の子供たちはこの世を去ることとなり、1960年頃に James Grose 社は三代目へと事業が継承されてゆきます。不運にも時を同じくして「 イギリス病 」とも言われる英国全土を巻き込んだ長期的な経済の停滞が1960~70年代までつづき、その不景気の波はジェームス・グロース社をも襲うことに。無念にも1971年にはその歴史を一度、完全に閉じることになったのだが40年以上の時を越え、とある倉庫に保管されてたアーカイブ品が奇跡的に見つかり、その数々の仕様たるや 時代、時代 にも左右されることがないであろう実に普遍的な魅力があり、一度は形骸化した「物」と「歴史」に息吹を吹き込むべくロンドンのレザーファクトリーとダッグを組み文字どおり " MADE IN ENGLAND " の看板を掲げながら2016年、今日の James Grose としてその物語が再び紡がれる事となる。そう、百数十年の時を経てその創業者の精神は今日の復活とともに引き継がれる事となる―。